２０２５年春の大学入試戦線は前年中に合否が出る総合型選抜の急膨張など異変づくめだったが、最も話題となったのは志願者総数で初の全国トップに立った千葉工業大学だ。知名度、偏差値ともにお世辞にも高くはない工学中心の大学が最大の志願者を集めた秘密は「お値打ち」感だっただろう。
　昨年春の入試まで近畿大学が11年連続で志願者数トップだったが、千葉工大は常勝近大を破った。それだけではない。16万２００５人という志願者数は１９８９年に早稲田大学が集めた16万１５０人を抜き、日本の大学史上最多志願者記録となったからだ。
　ＪＲ総武線の津田沼駅南口を出れば目の前には千葉工大の津田沼キャンパスの高層校舎が目に飛び込んで来る。南に約３㎞の京葉線新習志野駅近くには新習志野キャンパスも広がる。埼玉県や千葉県に立地していても「東京」を冠する大学もあるが、堂々と「千葉」を名乗る点が千葉工大の矜持だ。だが、発祥の地は東京都町田市で、千葉に校舎を構えたのは戦後だ。

低評価を覆す試み

　歴史は古い。成城学園、玉川学園の創立・・・