三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

経済

ホンダを襲う米国「大規模リコール」

社業傾く「企業統治不全」が噴出

2025年5月号

 ホンダが今、米国市場で新たな火種を抱えている。ホンダ車の品質トラブルが相次いで発生しているのだ。
 2024年4月、米国当局が300万台の予備調査を開始した。この予備調査はリコール(無償による回収・修理)に発展する恐れがあるもので、台数が多いほどその可能性が高くなると言われている。その半年後の10月にホンダはステアリング部品の不具合で170万台、および燃料ポンプの不具合で72万台と2件のリコールを届け出た。11月には米国当局が140万台の予備調査を開始し、12月には21万台のリコールを申請。そして、25年3月には221万台の予備調査に米国当局が踏み切った。
 リコールや予備調査自体は珍しくない。問題は、対象となる台数の多さだ。平均すると1件当たり150万台を超える規模の大きさだ。こうした事態に対し、他の自動車メーカーの技術者は「ホンダは明らかに初動が遅い」と指摘する。
 リコールのような品質トラブルでは、対象台数をいかに抑えるかが重要になる。これには二つの理由がある。一つは顧客の安全性を担保するためだ。例えば、品質トラブルが原因で高速走行中に車両が停止す・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます