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タイ政権の危うい「媚中外交」

「高層ビル倒壊」で生じた波紋

2025年5月号

「Made in China」ならぬ「冥途 in China」―。3月のミャンマー中部を震源とする地震は約1千㎞離れたタイ・バンコクをも揺らしたものの、震度はせいぜい「4程度」に過ぎない。にもかかわらず、建設中だったタイ会計検査院(SAO)の高層ビルは跡形もなく崩れ落ち、低賃金で重労働させられていた多くのミャンマー人労働者たちが生き埋めとなった。冒頭の揶揄は、建設を担った中国国営ゼネコンを中心とする企業体に浴びせられたネット上のスラングだ。施工ミスを認めず、証拠隠滅に走る姿に、タイ人の間では嫌中感情がますます高まっている。

中国建設企業への懸念続々

「最初はAIで合成されたフェイク画像だと思った。アメリカ同時多発テロの映像を見ているかのようだ。普通に施工していたら、あんな崩れ方はしない」
 ビルが崩れ落ちる瞬間の映像を見た日系ゼネコンの関係者は、そう驚きを隠さなかった。
 SAOの高層ビルは、週末に開催されるバンコク最大の公設市場「ウィークエンド・マーケット」で有名なチャトチャック地区で建・・・

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