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政治

彷徨える「内閣不信任決議案」

暴発「ダブル選挙」の残る筋書き

2025年5月号

「議員が内閣の信任又は不信任に関する動議若しくは決議案を発議するときは、その案を具え理由を附し、50人以上の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない」
 衆議院規則第28条の3の規定だ。即ち、内閣不信任決議案の提出には少なくとも発議者1人と賛成者50人の計51人が必要となることを意味している。衆院の構成をみれば、51人以上の議員を擁する野党は立憲民主党のみだ。不信任案提出の是非は同党の野田佳彦代表の一存にかかっていると言っても差し支えないだろう。
 当初、野田は2025年度予算成立後、企業・団体献金の禁止や選択的夫婦別姓導入の議論を進め、「いずれにも後ろ向きな自民党の姿勢を炙り出す」戦略で、その先には不信任案を提出し、夏の参院選の争点とすることを描いてきた。
 そこにトランプ米大統領による「相互関税」の問題が降ってきた。日本の経済や国民生活に大きな影響が及びかねない。石破茂首相は4月4日に与野党党首会談を開き、トランプ関税を「国難」と位置付けた。
 立憲内から「『国難』のさなかに首相を代えるのは望ましくないとの世論がある」(幹部)とし・・・

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