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経済

三菱商事「洋上風力」への疑念

裏切りの「撤退」はあるのか

2025年5月号

 三菱商事に向けられる市場の眼差しは厳しい。ある証券関係者はこう言い放つ。
「1・2兆円に根拠はあるのか。新中経は“張子の虎”だろ」
 2027年度に連結純利益1・2兆円を目指す、三菱商事の3カ年の中期経営戦略が波紋を呼んでいる。発表当日の4月3日はあいにくトランプ関税の衝撃と重なり、市場はほとんど反応しなかった。株価の低迷に歯止めは掛かっていない。
 同社の24年度純利益は9500億円の見通しだが、ローソンの株式再評価益など一過性利益が多くを占め、実質純利益は6500億円と前期比33%の減益。三井物産(9200億円水準)、伊藤忠商事(8200億円水準)に大きく水を開けられているのだ。3年間で倍増に近い利益底上げは可能なのか―。
 仕掛けは、新中経が唯一コミットした「12%以上」のROE(自己資本利益率)にある。現行10兆円の自己資本に0・12を掛ければ、単純に1・2兆円が導かれる。同社の中西勝也社長は「コンサバティブな当社らしく、達成可能な数字を掲げた」とROE12%に自信をみせた。実際、今期25年度は1兆円の自社株買い・・・

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