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社会・文化

医学研究「西高東低」が顕著に

東大より「関西」に逸材が多い理由

2025年6月号

 東京大学医学部は、我が国医学部の最高峰なのか? 研究とカネを巡る酷い醜聞がまた起きた。権勢を誇る教授が起こしたタカリと恐喝は氷山の一角だろう。今や日本の医学研究をリードするのは京都大学や大阪大学といった関西勢が関東勢に取って代わり、研究実績の「西高東低」が鮮明に浮かび上がってくる。
 ノーベル賞の前哨戦とされるクラリベイト引用栄誉賞。2002年からこれまでの受賞者総数441人(24年10月現在)のうち、実に84人がノーベル賞を受賞している。00年以降、東大医学部出身の受賞者は1人だ。一方、京大、阪大の医学部出身者は、それぞれ3人、4人である。
 ノーベル賞に加え、ガードナー国際賞、ロベルト・コッホ賞といった国際的に権威ある医学賞についても、00年以降に東大医学部出身の受賞者はいないが、京大・阪大の医学部出身者は3人が5回受賞している。
 こうした受賞歴は過去の研究レベルを反映するが、現在も状況は変わらない。世界最高峰の学術誌とされる英『ネイチャー』において、22年以降に東大医学部(医学系大学院を含む)に所属する研究者が筆頭著者として発表した論文は4報に留・・・

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