三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

連載

新大学評判記 第66話

東京女子医科大学 「女帝」亡き後に「暴君」登場

2025年6月号

 はやりの医療ドラマなら、大学病院を牛耳ってきた私利私欲にまみれた悪徳理事長が、司直の手に落ち、理事長と対決した正義の味方・スーパードクターが凱歌をあげてめでたしめでたし、となるものだが、現実世界ではそうはいかない。2億8千万円もの背任容疑で「女帝」と呼ばれた元理事長・岩本絹子が逮捕され、清新な新体制で再出発したはずの東京女子医科大学が揺れに揺れている。「脱岩本体制」の象徴として昨年秋、学長に就任した山中寿が、半年足らずで事実上解任されるなど学内の混乱が続いているのだ。現役の教職員からは「『女帝』から、『暴君』に代わっただけ」「人を大切にしていない」「報復人事が続出している」といった怨嗟の声が噴き出している。いま東京女子医大で何が起きているのか。

公表されなかった「振り返り」

 昨年8月、大学はガバナンス改革へ向け諮問委員会を鳴り物入りで設置した。委員長には元厚生労働省局長の岩田喜美枝、委員には昭和医科大学理事長の小口勝司らが就任し、活発な論議が行われたが、任期切れの今年3月末にまとめられた答申にあたる「振り・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます