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経済

《地方金融の研究》苫小牧信用金庫

無法経営「独裁者」の負の遺産

2025年6月号

動揺と波紋は地元金融界の枠を超え、政官界にも広がる。
 経営管理や法令遵守など企業統治体制に問題があるとして今年5月9日に北海道財務局から業務改善命令を受けた苫小牧信用金庫。「(元非常勤理事による)独裁的経営に過度に依存し、風通しの悪い組織文化が蔓延り、牽制機能が働かなくなってガバナンス不全に陥った」とされる。
 では一体、この「独裁者」とは何者なのか。「プライバシーの観点から名前は控えたい」。同日開かれた記者会見で小林一夫理事長はこう述べ、具体名を明かさなかったが、地元財界関係者の間では「思い当たる人物は一人しかいない」と専ら。窪田護氏―だ。

25年以上にわたる「隠蔽」

 常勤理事から理事長、会長に上り詰め、昨年4月「健康上の問題」を理由に85歳で特別顧問を辞任。現在は「施設に入所している」ともされる。在任中は苫小牧商工会議所の副会頭も務めたほか、2013年には市の中心市街地の賑わいを創出するなど「地場経済の活性化に尽力した」として市当局から「市政功労者表彰」も受けた。年に一人くらいしか・・・

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