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経済

《クローズ・アップ》北尾 吉孝(SBIホールディングス会長兼社長)

フジ「乗っ取り」は敗北の雲行き

2025年6月号

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、アクティビストファンドのダルトン・インベストメンツが提案したSBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏を含む株主提案の役員候補12人について選任反対を決議。委任状争奪戦に突入する見込みだ。
 1月以降、FMHへの関心を周囲に公言して憚らなかった北尾氏は、清水賢治フジテレビ社長にすり寄り、会社提案での社外取締役への就任を狙っていたが袖にされた。もとより北尾氏以外のSBIの取締役はFMHに手を出すことには反対だった。「新生銀行の公的資金返済も進み、本業の金融事業の更なる強化にまい進するはずが変なところにリソースを使うことになった」(SBI幹部)との声も聞かれる。
「強圧的な印象にがっかりした」(テレビ業界関係者)との声もあった記者会見も、北尾氏が個人として動いたことになっているが、SBIから社員が動員させられた。
 SBIは官僚OBを大量に社外取締役や顧問に抱え、北尾氏は「放送法を外してFMHを買収可能にできるか」と総務省に働きかけるなど執念を燃やした。総務省幹部は「なまじ政治への影響力もあるので厄介・・・

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