過去の米中央情報局（ＣＩＡ）のキャリアで、私は任務に赴いた世界各地で困難な状況に何度も直面してきた。そんな幾多の経験から学んだことはビジネスの世界にも活かせる。
　経済活動の目標は「利益」を出すことだ。それをＣＩＡに当てはめると「任務」を果たすことになる。アメリカのための情報活動という「任務」が全ての原動力だ。私にとっては仕事というよりも生き方そのものだった。ＣＩＡで成功するには長時間労働などの犠牲は欠かせず、任務の成功のために私は喜んでそのコストを払った。
　アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディンを追いつめるまで、担当者らは何年も休みがなかった。人の命がかかっているため、ごまかしたり、手を抜いたりすることは当然許されない。時には戦地に赴く必要もある。
　それはビジネスでも大きく違わないだろう。私が見てきた経済界で成功している人たちは、精神的にタフで、前に突き進むことができる人間だった。そこにはＣＩＡの任務と多くの共通点がある。
　任務に成功する重要な鍵はレディネス（Readiness）、つまり「準備」だ。外国政府高官との会談でも、「どんな・・・