マレーシアに響く「首相世襲」の足音
アジアの民主主義「後退」が加速
2025年6月号
東南アジア諸国連合(ASEAN)で強権的な統治スタイルが広がる中、民主主義が比較的根付いていたマレーシアでも民主主義が後退し始めている。マレーシアの与党・人民公正党(PKR)の党内選挙では次期総選挙を見据え、アンワル首相の長女ヌルル・イザーが副総裁選に当選。アンワル後継候補の本命とみられており、世襲政治への懸念が強まっている。アンワルは長年政治改革を掲げてきたが、首相就任後は改革を放棄し、支持者の失望を買っている。
党総裁を含む党の指導部を決める中央指導部選挙は5月23日に実施された。総裁選は現職のアンワル以外に候補者が現れず、無投票で3選を決めた。副総裁選は、現職のラフィジ・ラムリ経済相の信任投票になると思われていたが、土壇場でヌルルが出馬表明し、大荒れとなった。
ヌルルは5月7日、自らのソーシャルメディアで出馬の理由について「草の根の意見を尊重した。PKRが今後もマレーシア国民から信頼され続けるため、意義のある変化をもたらす必要がある」と説明し、「最善の決断を下す。インシャーアッラー(神が望むならば)」と述べた。
ヌルルはマレーシア屈指の名門テ・・・
党総裁を含む党の指導部を決める中央指導部選挙は5月23日に実施された。総裁選は現職のアンワル以外に候補者が現れず、無投票で3選を決めた。副総裁選は、現職のラフィジ・ラムリ経済相の信任投票になると思われていたが、土壇場でヌルルが出馬表明し、大荒れとなった。
ヌルルは5月7日、自らのソーシャルメディアで出馬の理由について「草の根の意見を尊重した。PKRが今後もマレーシア国民から信頼され続けるため、意義のある変化をもたらす必要がある」と説明し、「最善の決断を下す。インシャーアッラー(神が望むならば)」と述べた。
ヌルルはマレーシア屈指の名門テ・・・