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WORLD

米国「シン植民地主義」の猛威

世界地図「激変」の時代再び

2025年6月号特別リポート

 カナダ、デンマーク自治領のグリーンランド、パナマ運河、さらにパレスチナのガザ地区―。米国の領土拡張を目指すトランプ政権の政策が世界を揺るがせている。相手国・地域の意向や国際法の常識を無視した「シン(新)植民地主義」は何を目指しているのか。世界はどう変容しつつあるのか。
 トランプ流の「シン植民地主義」は、大国が、資源収奪などを目的に自国以外の地域を侵略し、支配する近世以降の植民地主義の21世紀版だ。とはいえ、相手国の国家主権を完全に奪い、統治する旧来型の「植民地」とは必ずしも同じ形態をとらない。
 例えばウクライナとの間で4月末に結んだ鉱物資源協定。ロシアの侵攻に対する防衛協力の見返りとして、新たな鉱物資源取引への優先的なアクセスを得た。合意は「自由で主権を持ち、繁栄するウクライナに向けたトランプ政権のコミットメント」としているが、ウクライナへ武器支援をしている欧州諸国との間に同様の合意はない。経済利権と防衛協力を組み合わせることで、国防だけでなく、経済面でウクライナの国家主権の一部を、米国が握るものだ。「米国が軍事、経済面で決定権を持ち、主権をコントロールする国・・・

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