《日本のサンクチュアリ》特殊詐欺連合捜査班
看板倒れの「日本版FBI」
2025年6月号
「連戦連敗、警察の大敗北だ」
ある警察幹部は被害統計資料を前に唇を噛んだ。2024年、全国の特殊詐欺認知件数は約2万1千件、被害額は同722億円を記録した。被害額は前年から6割増加し、過去最悪だった14年を大きく上回った。平均すると1時間に2・4件の詐欺被害が発生し、毎日2億円近くが犯罪組織の手に消えている計算だ。日本で特殊詐欺が確認されて20年余り。国民の安全と財産を守るべき警察当局は、いまだこれを撲滅できずにいる。
アメーバのように姿、形を変え、手口を複雑・巧妙化させる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流=トクリュウ)」の跋扈が続く。危機感を強めた政府は、警察が管理する架空名義の口座を活用して犯罪組織の金の流れを追う新たな捜査手法に向けた法整備の検討などに着手。石破茂首相は犯罪対策閣僚会議で、「極めて憂慮すべき事態だ」と深刻な懸念を表明した。だが、被害が毎日、どこかで当たり前のように発生する事態に、国民はもはや驚かなくなっている。
警察庁は昨年4月、特殊詐欺事件を広域捜査する専従部隊「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を、東京と大阪、大都市圏の7都府県・・・
ある警察幹部は被害統計資料を前に唇を噛んだ。2024年、全国の特殊詐欺認知件数は約2万1千件、被害額は同722億円を記録した。被害額は前年から6割増加し、過去最悪だった14年を大きく上回った。平均すると1時間に2・4件の詐欺被害が発生し、毎日2億円近くが犯罪組織の手に消えている計算だ。日本で特殊詐欺が確認されて20年余り。国民の安全と財産を守るべき警察当局は、いまだこれを撲滅できずにいる。
アメーバのように姿、形を変え、手口を複雑・巧妙化させる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流=トクリュウ)」の跋扈が続く。危機感を強めた政府は、警察が管理する架空名義の口座を活用して犯罪組織の金の流れを追う新たな捜査手法に向けた法整備の検討などに着手。石破茂首相は犯罪対策閣僚会議で、「極めて憂慮すべき事態だ」と深刻な懸念を表明した。だが、被害が毎日、どこかで当たり前のように発生する事態に、国民はもはや驚かなくなっている。
警察庁は昨年4月、特殊詐欺事件を広域捜査する専従部隊「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を、東京と大阪、大都市圏の7都府県・・・