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Book Reviewing Globe 495

AI「戦争利用」の覇権争い

2025年8月号

 2018年、グーグルがドローンの開発に関する契約をペンタゴンと締結すると聞いた同社の従業員たち4千人が「AIの軍事利用」に反対する署名をした。彼らは、ペンタゴン幹部をグーグル本社に入らせないピケを張った。
 その一方で、グーグルはじめシリコンバレー企業が中国に軍民両用技術を販売し、中国がそれを軍民融合路線の下、軍事的に利用することに彼らは無頓着である。
 シリコンバレーの起業家たちはいまなお「国家安全保障や福祉といった大きな問題に取り組まずに狭い消費者向けの製品やサービスに主たるエネルギーを注ぎ込む内向き姿勢」を取っている―。ビッグデータのソフトウェアプラットフォーム企業であるパランティア・テクノロジーズの共同創設者でありCEOである著者とその部下の共著者は、こうシリコンバレーの独善的価値観を批判する。
 米国はこれまで国家的危機に直面すると、科学者と技術者が政府と連携し、革新技術の社会実装によって国家的課題を解決すべく取り組んできた。MIT副学長で起業家(後のレイセオンとなる企業を創業)でもあったヴァネヴァー・ブッシュが率いた原子爆弾開発のマンハッタン・・・