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コーカサスの地政学に「新潮流」

「ロシア抜き」和平と経済回廊構想

2025年8月号

 ウクライナと中東で戦争が続くなか、両地域に隣接するコーカサスの産油国アゼルバイジャンの存在感が増している。資源と地の利をテコに全方位外交を展開、コーカサスを勢力圏と見なすロシアのウラジーミル・プーチン政権と対決する姿勢すら見せる。欧州とアジアをつなぐ結節点で地政学が動きつつある。
 アメリカ大統領ドナルド・トランプと北大西洋条約機構(NATO)事務総長マルク・ルッテのホワイトハウスでの7月の会談。ウクライナへの武器支援と対ロ制裁に関する発言に関心が集中したが、トランプはコーカサス情勢にも言及した。「我々はもう一つの紛争を解決しようとしている。アルメニアとアゼルバイジャンの紛争は成功裏に終結に向かっている」
 ソ連崩壊から、両国はアルメニア系住民が実効支配してきたナゴルノカラバフを巡り対立してきた。アゼルバイジャンはアルメニアの同盟国であるロシアがウクライナ侵略に注力している隙を突き、2023年にナゴルノカラバフを武力制圧した。
 トランプ政権は3月、中東特使スティーブン・ウィトコフをアゼルバイジャンに派遣している。プーチンとの会談後にウィトコフはロシアか・・・

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