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ミャンマー内戦はさらに長引く

軍政支援に傾く国際社会の欺瞞

2025年8月号

 クーデターでアウンサンスーチー率いる「国民民主連盟(NLD)」から全権を奪取したミャンマー軍事政権が、年末にも実施を計画する総選挙に向けて着々と準備を進めている。中国やタイなどの周辺国も軍政支援に舵を切った。ただ、軍政に対峙する少数民族武装勢力や民主派の武装組織グループが戦闘をやめる気配は皆無だ。7月末で非常事態宣言は期限切れを迎えるものの、解除は現実的ではない。
 雨季が本格化するにつれ、戦場は過酷さを増す。
 ミャンマーの民主派勢力が樹立した「国民統一政府(NUG)」傘下の民主派武装組織「国民防衛隊(PDF)」に所属する30代の兵士は「皮膚病にかかっている仲間が増えている」と言った。銃弾が飛び交う戦闘の最前線では数日間、水浴びができず、着替えもない。湿度が上がって湿疹や水虫が発生しやすくなったり、戦闘で負った傷が治らず感染症になったりするという。
 この兵士が所属する大隊は、ミャンマー中部マンダレー管区で戦う。マンダレーや隣接するザガイン管区は3月28日の大地震で甚大な被害を受けた。軍政と抵抗勢力の両者が被災者の救助や復興を優先するため「一時停戦」を・・・

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