中国が本腰「南米横断鉄道」の衝撃
パナマ運河「無効化」へ着々
2025年8月号
中国が南アメリカ大陸中央部を横断し、大西洋岸と太平洋岸を結ぶ全長6500㎞の鉄道建設に動き出した。狙いはブラジルなど南米の食料、資源を太平洋側から中国、東南アジアに向け輸出することにある。米中対立の中で、中国は大豆、トウモロコシなど輸入農産物の「脱米国」を急速に進めており、鉄道建設はサプライチェーンの強靱化につながる。さらに中国が意識しているのは、パナマ運河のバイパス構築でグローバル物流への米国の影響力希薄化である。
7月6~7日、リオデジャネイロで開催されたBRICS首脳会議は習近平国家主席こそ欠席したが、「反トランプ」の空気に包まれた。首脳会議並みに注目されたのは、首都ブラジリアで中国政府と中国鉄道経済計画研究所、ブラジル運輸省と傘下の鉄道建設会社であるインフラ社が調印した「南米大陸横断鉄道」建設の実現可能性調査の覚書だった。
中国がアジア~欧州から南米にまで範囲を広げて進めている「一帯一路」戦略の一環ともいえるが、その規模と戦略的意義は「1プロジェクトの枠を大きく越えている」と中国側関係者は指摘する。計画は2つの海を結ぶことから中国側で「双洋鉄道」と名付・・・
7月6~7日、リオデジャネイロで開催されたBRICS首脳会議は習近平国家主席こそ欠席したが、「反トランプ」の空気に包まれた。首脳会議並みに注目されたのは、首都ブラジリアで中国政府と中国鉄道経済計画研究所、ブラジル運輸省と傘下の鉄道建設会社であるインフラ社が調印した「南米大陸横断鉄道」建設の実現可能性調査の覚書だった。
中国がアジア~欧州から南米にまで範囲を広げて進めている「一帯一路」戦略の一環ともいえるが、その規模と戦略的意義は「1プロジェクトの枠を大きく越えている」と中国側関係者は指摘する。計画は2つの海を結ぶことから中国側で「双洋鉄道」と名付・・・