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経済

外国人排斥が招く「地方の困窮」

移民労働者は過疎地の「命綱」

2025年8月号

 7月の参議院選挙は参政党を筆頭に在日外国人問題を提起する政党が相次いだ。そうした外国人排除の論理には粗さと危うさが目立ったが、在日外国人が昨年末で376万人に達し、直視すべき時期にきたのも確かだ。重要なのは外国人をめぐって地方と都市の亀裂が深まっていることだ。地方では少子化と若者の流出で今や外国人労働力は不可欠な存在となり、多様性のあるコミュニティも各地に姿を現し始めている。地方では「日本人ファースト」のアジテーションは空虚に響くだけだ。

今や「金の卵」

「うちを誘致しようというなら、雇用を確保できる具体的根拠を示して欲しい」。中国地方のある県の企業誘致担当職員は大阪に本社を置く中堅電子部品メーカーの役員からこう要求された。県職員が言葉に詰まると、「外国人を何人集められるかが重要なんだ」と役員は続けた。
 トランプ第1期政権以降、製造業の「脱中国」の流れが本格化し、第2期で一気に日本回帰も加速した。日本の地方には工場進出ラッシュが起きている。台湾のTSMC進出で沸く熊本県や日の丸半導体再興を掲げ、・・・

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