名門「愛育病院」が喘ぐ赤字経営
人口減少「日本縮小」の象徴
2025年8月号
昭和天皇の恩賜により1934年に設立された愛育病院(東京都港区)は我が国を代表する周産期・小児医療の専門病院だ。秋篠宮妃紀子さまが長男の悠仁さまを出産したほか、多くの著名人が出産したことでも広く知られ、ブランド力を誇る。その経営が近年、厳しさを増している。その要因を探っていくと、それは一病院どころか、日本経済の危機につながっている。
愛育病院の運営母体は社会福祉法人恩賜財団母子愛育会だ。現在は秋篠宮妃紀子さまが総裁を務めている。母子愛育会の中核は愛育病院と愛育クリニックの運営である。経常収益の9割を医業収益が占める。
注目すべきは、同会がコロナ禍においても高い収益性を維持していたことだ。補助金に依存した訳ではない。2022年度の補助金収益は、わずか279万円にとどまる。コロナ禍で出産控えが進む中でも、安全な出産を求める妊婦からの信頼を背景に、独自のブランド力で乗り越えてきたのである。
だが、経常収益は22年度の80・6億円をピークに減少傾向に転じ、24年度は76・4億円まで落ち込んだ。22年度に5・8億円だった経常黒字は、24年度には2・1億円の経・・・
愛育病院の運営母体は社会福祉法人恩賜財団母子愛育会だ。現在は秋篠宮妃紀子さまが総裁を務めている。母子愛育会の中核は愛育病院と愛育クリニックの運営である。経常収益の9割を医業収益が占める。
注目すべきは、同会がコロナ禍においても高い収益性を維持していたことだ。補助金に依存した訳ではない。2022年度の補助金収益は、わずか279万円にとどまる。コロナ禍で出産控えが進む中でも、安全な出産を求める妊婦からの信頼を背景に、独自のブランド力で乗り越えてきたのである。
だが、経常収益は22年度の80・6億円をピークに減少傾向に転じ、24年度は76・4億円まで落ち込んだ。22年度に5・8億円だった経常黒字は、24年度には2・1億円の経・・・