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「不死鳥」ネタニヤフに近づく終幕

内政は脆弱なイスラエル

2025年8月号

 イスラエルで連立政権を維持してきたベンヤミン・ネタニヤフ首相が、宗教政党の相次ぐ政権離脱で窮地に陥っている。少数政党乱立で不安定な政治状況が続く同国で1996年以来、3期(計6次)にわたって政権を担ってきた「不死鳥」政治に大きな陰りが見えるなか、ポスト・ネタニヤフをめぐる議論が活発化している。その行方は中東情勢にも大きな影響を与える。

ガザが影落とす兵役問題

 7月中旬、ネタニヤフ政権に加わっていた宗教政党2党が相次いで連立からの離脱を表明した。イスラエルの超正統派政党「ユダヤ教トーラ連合(UTJ)」と「シャス」。UTJの議員6人(代表1人は先行離脱)、シャスの11人を失った連立政権は、クネセト(イスラエル国会)定数120のうち、わずか50議席の少数与党に陥った。ただ、クネセトは同月末から約3カ月の夏休みに入り、法案審議は事実上止まる。シャスは、離脱後も法案ごとに閣外協力に応じる姿勢を見せており、ただちに政権崩壊にはつながらない見通しだ。
 連立与党が過半数(61議席)を割り込んだのは初めてではな・・・

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