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連載

皇室の風 第203話

横路孝弘の遺言Ⅲ
岩井克己

2025年8月号

 ガイドライン(日米防衛協力のための指針)の累次の改定と「周辺事態」概念の導入によって、日米の軍事協力の憲法上の制約が大きく緩和され、集団的自衛権の行使を封印するという憲法第9条の長年の政府解釈が第2次安倍政権で崩されたことで「地域的・地球的規模の安全保障のための日米協力」として、自衛隊と米軍の連携と統合的作戦能力の強化が一気に進んだ。
 衆院議長引退後、衆院事務局からの聴取に応じた横路孝弘によると、周辺事態に対処する日米の作戦、指揮、情報収集などの連携を推進するため、大統領と首相の下に閣僚級の日米安全保障協議委員会(SCC)と、それを支える局長級の防衛協力小委員会を設け、そこで大きな方向性を示す包括的メカニズムを確立。具体的な運用計画を策定し実施する日米調整メカニズムも出来上がった。
「例えば、防衛省の地下に中央指揮所というのがあります。これが一番の指揮所ですね。そこに〔2015年のガイドライン改定以後は〕米軍の幹部が常駐しています。もう司令部そのものですね。そして、日本の自衛隊も陸海空それぞれの司令部機能は米軍と同じ場所にあります。横田基地の地下に大きいスクリー・・・

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