をんな千一夜 第101話
日本の原罪と向き合った詩人
石井 妙子
2025年8月号
参議院選挙では景気対策に並んで、にわかに「外国人問題」が取り沙汰されるようになり、「日本人ファースト」と声高に謳う党が大幅に議席を伸ばして話題を集めている。
そんなニュースに接し続ける中で、森崎和江のことを思い出した。
森崎は生涯、「日本人であること」を問い続けた作家として知られる。その根底にあったのは植民地朝鮮に生まれ育った自分に対する罪の意識であった。生涯に70冊を超える著作を残したが、代表作として、炭鉱の坑道で働く人々から話を聞き取った『まっくら』、戦前に海を越えて中国や朝鮮、東南アジアなどに売春婦として売られていった女性たちの生涯を追いかけた『からゆきさん』がある。
森崎は1927(昭和2)年、教員だった父の赴任先、朝鮮の慶尚北道大邱で生まれた。
家には朝鮮のオモニ(乳母)とオンニ(ねえや)がいて、森崎はそのぬくもりに守られて育った。
小学5年生の時、慶州に移り住む。かつては新羅の都であったこの古都には、王朝の名残りが古墳として残っていた。森崎はこの街に魅了され、晩年も故郷として懐かしんでいる。だが、同時に、様々な気・・・
そんなニュースに接し続ける中で、森崎和江のことを思い出した。
森崎は生涯、「日本人であること」を問い続けた作家として知られる。その根底にあったのは植民地朝鮮に生まれ育った自分に対する罪の意識であった。生涯に70冊を超える著作を残したが、代表作として、炭鉱の坑道で働く人々から話を聞き取った『まっくら』、戦前に海を越えて中国や朝鮮、東南アジアなどに売春婦として売られていった女性たちの生涯を追いかけた『からゆきさん』がある。
森崎は1927(昭和2)年、教員だった父の赴任先、朝鮮の慶尚北道大邱で生まれた。
家には朝鮮のオモニ(乳母)とオンニ(ねえや)がいて、森崎はそのぬくもりに守られて育った。
小学5年生の時、慶州に移り住む。かつては新羅の都であったこの古都には、王朝の名残りが古墳として残っていた。森崎はこの街に魅了され、晩年も故郷として懐かしんでいる。だが、同時に、様々な気・・・