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経済

調剤薬局は「戦国時代」に突入

覇権争う「アイン大谷」の剛腕

2025年8月号

 調剤薬局業界が一気に合従連衡の乱世に突入した。大手の日本調剤が身売りのオークションを進めていることが明らかになっているほか、最大手のアインホールディングス(HD)が「さくら薬局」を展開するクラフトを1千億円超で買収することが決まった。M&Aで急膨張するドラッグストア業界の殴り込みもあり、規模拡大が生き残りの生命線になってきた。
 上場企業の日本調剤の身売りオークションが原稿執筆時点で佳境を迎えている。交渉関係者によると2回のビッドを経て既に投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が独占交渉権を獲得、詰めの作業に入っているようだ。APは日系の投資ファンドで、これまでに青汁のキューサイや外食のひらまつ、ポッカコーポレーションやコメダなどへの投資実績がある老舗だ。
 日本調剤は上場こそしているが、創業者の三津原博氏が率いる事実上のオーナー企業。三津原一族で株式の過半を握っているが、その株を売却しようとしている。博氏は息子の庸介氏に社長の座を譲ったものの、庸介氏は昨年、健康上の理由で辞任しており、親族内事業承継に失敗した後の先行きが注目されていた。
 あ・・・

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