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社会・文化

中高年「ドーピング薬」のすすめ

老化・虚弱防止の有効な一手

2025年8月号

 高齢者がドーピング行為をする―。そんなこと、あるのか。実は大ありなのだ。ドーピングで使用される薬物の中には、治療薬としての効能が認められているものがあるからだ。
 ドーピング規制の議論は、アスリートを中心に積み上げられてきた。勝つために高用量の薬物を使用する。その結果、健康被害が生じ、競技の公平性が歪められる。大きな問題だ。来年5月、米ラスベガスでドーピングを公然と認める世界初の競技会「エンハンスト・ゲームズ」が開催される。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)などが反対を表明している。
 このようなケースに注目が集まることで、ドーピングで問題になる薬物の効能が社会的に見過ごされてきた側面がある。日本メンズヘルス医学会理事長を務める堀江重郎・順天堂大学教授(泌尿器科)は、「中高年、特に男性では適切な方法と管理のもとで、メリットが得られる場合がある」と話す。

肉体的老化と精神面で効果

 堀江教授が注目するのは、加齢に伴う性腺機能の低下である。男性においても、加齢とともに主要な性ホルモンであ・・・

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