欧州社会を蝕む 「リベラル狩り」
その暴力は日本にも波及するか
2025年9月号
この数年、ヨーロッパ各国で極右勢力の台頭が著しい。移民排斥、ナショナリズム、欧州懐疑主義、反温暖化対策、反ジェンダーバランスなどを「正論」として掲げる政党が、選挙のたびに着実に支持を広げる。極右に票を奪われた既存政党が弱くなり、政治が不安定になるということだけがマイナス効果ではない。より深刻なのは、「リベラル勢力」に対する暴力が常態化してきたことだ。日本でもネット空間で「反日」などの言葉の暴力が激しさを増す。7月の参院選ではナショナリズムが顕著になった。「リベラル狩り」はヨーロッパから日本にも波及するのか。
「国民の敵」とのレッテル
2026年に地方選挙が予定されているドイツ東部で政治家への暴力がとまらない。攻撃の対象は日本では「リベラル勢力」に区分される左派系だ。標的として目立つのは移民の受け入れに寛容で、LGBTQなど性的マイノリティーの権利向上に熱心な環境政党の「緑の党」である。
殺害予告の脅迫状など「言葉の暴力」だけではない。「通りざまにつばを吐きかけられる」「投石で自宅の窓ガラスが何・・・
「国民の敵」とのレッテル
2026年に地方選挙が予定されているドイツ東部で政治家への暴力がとまらない。攻撃の対象は日本では「リベラル勢力」に区分される左派系だ。標的として目立つのは移民の受け入れに寛容で、LGBTQなど性的マイノリティーの権利向上に熱心な環境政党の「緑の党」である。
殺害予告の脅迫状など「言葉の暴力」だけではない。「通りざまにつばを吐きかけられる」「投石で自宅の窓ガラスが何・・・