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英仏を脅かす「イスラム女性団体」

ガザへの怨念で「聖戦」の機運

2025年9月号

 フランスのマクロン大統領が、パレスチナ国家承認に踏み切ったのは、7月のこと。主要7カ国(G7)諸国としては初の表明であり、9月の国連総会で正式な承認がなされるか注目を集めている。表向きは人道的配慮と外交戦略の延長線上に見えるこの決断だが、フランスが実際に直面しているのは別の恐れだ。国内に潜むイスラム過激派の影響である。
 ガザ情勢は確かに深刻だ。イスラエルによるガザ封鎖は人道危機を極限まで押し上げ、住民は飢餓に苦しんでいる。連日ニュースが伝える骨と皮ばかりにやせ細った子どもたちの映像は、欧州市民にナチスのホロコーストの記憶を呼び覚まし、各国政府はイスラエル支持を言い繕う術を失っている。
 フランスは7月28日、サウジアラビアと連携し、ニューヨークの国連本部でイスラエルとパレスチナの「2国家共存」をめざす閣僚級国際会議を主導した。英政府もパレスチナ承認に前向きな姿勢を示しており、長年この課題に奔走してきたサウジアラビアにとって、フランスの決断は外交努力の結実にも見えた。
 とはいえ、なぜこれほどの方針転換にフランスは踏み切ったのか。外交筋によれば、フランス・・・

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