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北朝鮮「出稼ぎハッカー」の猛威

極貧国家を支えるサイバー犯罪集団

2025年9月号

 北朝鮮の海外派遣労働者には「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが付きまとう。ロシア極東の建設現場で寝泊まりしながら働く労働者、治安の悪いアフリカで護身用の拳銃が手放せない医師、ロシア南西部クルスク州では6千人超の北朝鮮兵士が死傷した。唯一の例外がIT要員(ハッカー)たちだ。

巧妙な「なりすまし」

 米サイバーセキュリティー企業「CrowdStrike(クラウドストライク)」が8月に公開した報告書によると、ハッカーたちは4~5人のチームをつくり、中国やロシア、ナイジェリア、カンボジア、アラブ首長国連邦(UAE)などで働く。1人あたり月額1万㌦(約150万円)稼ぐよう義務付けられるが、それほど厳しいノルマでもないようだ。
 ハッカーたちはノルマを超えて稼いだ金額の8割くらいは、国家への忠誠資金として上納を求められる。それでも、稼ぐ金額が大きいため、手に入る収入も大きい。米司法省が今年6月末に公表した資料によると、米ジョージア州では約90万㌦、ニュージャージー州では500万㌦以上の収益を上げた。20・・・

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