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台湾に「親中シフト」の暗雲

頼清徳「死に体化」で日本も危機に

2025年9月号

 台湾の大手テレビ、TVBSが8月11日に発表した世論調査で頼清徳総統の支持率は28%に下がった。「野党議員に対する大リコール運動」「対米関税交渉」にことごとく失敗。中国の台湾浸透を防ぐための在留中国人配偶者排斥は「魔女狩り」と非難され、早々に政権のレームダック(死に体)化が囁かれる。今後、親中勢力が台頭し、台湾の立ち位置が米国寄りから中国寄りにシフトする可能性も浮上している。
 与党・民進党内からも「頼清徳氏の2028年の次期総統選挙での続投は厳しい。早急に党内からポスト頼を探さなければならない」という声があがる。
 TVBSの世論調査で「頼氏が台湾を正しい方向に導いているか」という質問に「はい」と答えた有権者は32%。「いいえ」の41%を大きく下回った。中国の統一攻勢を拒否し、台湾独立の方向へ歩む頼氏の対中姿勢が事実上否定されたともいえる。

3つの失策

 頼氏の支持率が急落した理由は3つある。
 第1は、昨年末から民進党と民間団体が主導した野党系国会議員へのリコール運動の大失・・・

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