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経済

《企業研究》大成建設

東洋建設買収でも晴れぬ前途

2025年9月号

 今年8月8日の東京・虎ノ門。国内有数のラグジュアリーホテル「オークラ東京」に設営された記者会見場は見た目の華やかさとは裏腹、何やら奇妙な空気に包まれていた。
 東洋建設に対する公開買い付けの開始に関するお知らせ―。スーパーゼネコンの一角、大成建設による海洋土木(マリコン)大手、東洋建設の買収を告知するもので、正面ひな壇には大成・東洋両社首脳と、東洋の筆頭株主で任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」の山内万丈代表の3トップが顔を揃えた。
 詰めかけた報道陣が“違和感”の正体に気付かされたのは、会見も半ばを過ぎた辺りか。大成の田中茂義会長と山内代表が軽い笑みを絶やさず、記者らの質問に受け答えしているのに対し、東洋の吉田真也会長執行役員兼CEO(最高経営責任者)だけが終始、仏頂面を浮かべ、「どことなく不貞腐れたような対応」(マスコミ関係者)を繰り広げていたからだ。
 だが無理もあるまい。買収交渉の舞台裏では実はぎりぎりまで、大成と東洋による「前代未聞」(事情通)ともいえるドタバタ劇が演じられ・・・

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