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社会・文化

護衛艦「豪州輸出」は慶事か

「兵器産業大国」推進への懸念

2025年9月号

「世界で一番、美しい街」とも称される西オーストラリア州パース。とりわけ海岸は軟らかな砂と透明度の高いビーチで名高い。そんな観光都市近郊にある海軍施設に今年3月、海上自衛隊の最新鋭護衛艦「のしろ」が寄港した。豪紙オーストラリアンは、その様子を「日本のフリゲート艦が販売促進ミッションを実施」と報じた。
 3カ月後には、北部にある安全保障の要所・ダーウィンに海自の護衛艦「やはぎ」が寄港。いずれの護衛艦も8月5日に豪州政府が採用を発表した三菱重工業の「もがみ型」だった。海自の護衛艦がわずか数カ月の間に2度も豪州に寄港するのは、日の丸護衛艦の「セールスショー」だったわけだ。
 気の早い現地メディアは日本側が護衛艦を「納品」する意向と早い段階で報じていた。年内には最終契約に至る見込みで、2029年には国内で製造した最初の1隻を引き渡す。その後、このパース近郊の施設で日本と「共同開発」する護衛艦が建造されるという。
 護衛艦の調達は豪州の海洋安全保障にとって最も重要な課題の一つ。豪州メディアにとっても大きな関心事で、8月5日に豪州首脳が採用を発表した会見の様子は、公共テ・・・

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