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破滅寸前のウクライナ

幻想の停戦交渉と迫る「内部崩壊」

2025年9月号特別リポート

 8月15日に行われたアラスカでの米ロ首脳会談が二つのことを世界に突き付けた。米国大統領ドナルド・トランプはロシアに圧力を掛けて停戦を実現する意思はなく、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンはあくまでウクライナ全体の支配を目指し、殺戮を続けるということだ。欧州はウクライナを支えきれず、ウクライナは内から瓦解するとプーチンは踏んでいる。
「まるで壊れた電話だ」
 ロシア政府筋は、米ロ首脳会談の後に同月18日、ワシントンで開かれたウクライナ大統領ヴォロディムィル・ゼレンスキーや欧州の首脳とトランプの会談を受けてそう発した。「トランプはこれまでの経緯を把握しておらず、プーチンの意向を理解していない」。
 トランプはワシントンで「プーチンはディールしたがっている」と語り、プーチンとゼレンスキーの首脳会談を調整すると表明した。北大西洋条約機構(NATO)の集団的自衛権(第5条)に類似した安全の保障をウクライナに提供することに「ロシアも同意している」(首脳会談に出席した米側の特使スティーブ・ウィトコフ)として、アメリカも関与する枠組みを欧州と協議する考えを示した。ロシア・・・

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