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経済

ニデック「不正会計」はなぜ起きた

永守パワハラ経営で溜まった「膿」

2025年10月号

 ニデックが窮地に立たされた。会計処理において不正な操作を行っている疑いが発覚したのだ。同社は「不適切会計」の言葉で繕うが、経営陣の関与まで疑われていることから「粉飾決算」に発展する可能性は高い。
 株式市場にも不信感が漂っている。ニデックがこの不正会計の疑いを表沙汰にした翌日の株価はストップ安を記録。前日の株価から20%以上急落した。社内にも動揺が広がっている。「創業以来の重大な問題。幹部が全て調査対象となった」と同社幹部は不安を隠さない。
 幹部が焦るのも無理はない。ニデックでは今、不正会計が疑われる案件が次々と明るみに出ているからだ。2025年6月、同社はイタリア子会社が「原産国表示違反」を行っていた事実を公表した。このイタリア子会社は、中国製の部品を使ってオーブン用モーターを製造していたにもかかわらず、イタリア製と偽って米国に輸出。米国輸入製品にかかる追加関税を支払っていなかった。期間は約5年半にも及ぶ悪質なものだ。しかも、他の製品でも同じ違反を犯している恐れが高いことが判明した。
 これを受け、ニデックは類似違反の有無を調べることを余儀なくされ、・・・

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