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経済

東京メトロは上場企業に能わず

「天下り続行」半官半民企業の本性

2025年10月号

 昨年10月23日、東証プライム市場に上場した東京メトロ。初値は公開価格(1200円)を36%上回る1630円の値を付け、時価総額は1兆円を超えた。華々しい株式市場への参入から約1年。「会社の体質は何も変わっていない。上場する意味なんてなかった」との声が社内から漏れてくる。
 メトロの社風に嫌気がさし、転職した元社員が「国と都の外郭団体であることが変わっていない、ということを如実に表している」と吐き捨てるのが、元国土交通省事務次官でメトロ元会長の本田勝が今年1月、顧問に就任していた事案だ。本田は2023年、国交省から認可を受ける民間企業の人事に介入したとして批判を受け、会長を退任していた。
 本田は羽田空港などのビルを運営する「空港施設」(東京都大田区)に対し、同社の副社長だった国交省OBを社長に昇格するよう要求。「有力な(国交省)OBの名代」と告げたとされる。OBによる人事介入は天下りの規制対象外とはいえ、許認可権を握る官庁の元トップによる「ごり押し」は大きな波紋を広げた。
 問題発覚から約3カ月後、本田は任期満了で退任した。当時は引責辞任とみられていた・・・

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