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経済

《クローズ・アップ》大塚 博行(JAC社長CEO)

出足好調「異色ファンド」の将来性

2025年10月号

 金融界ではまさに時の人だ。上場株に投資する「ジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC)」の大塚博行社長CEO(最高経営責任者)。JACを2023年秋に設立、1号ファンドでいきなり1300億円もの巨額の資金調達に成功し、既にライオン、タダノ、オムロンへの投資が明らかになっている。
 アクティベーションという名が付いてはいるが、企業をひたすら攻め立てるアクティビストではない。かといってプライベート・エクイティ(PE)ファンドのように完全買収を狙うわけでもない。経営陣と友好的関係を築き、少数株主の立場からアドバイスをし、企業価値向上に取り組むというユニークなコンセプトのファンドだ。企業と対決するアクティビストと、はなから会社側に立ち何もモノを言ってこなかったかつての日本的な沈黙の機関投資家との中間に位置すると言えばいいだろうか。
 なんの実績もないファンドがいきなり最初から4ケタ億円を集めるのは「前代未聞」(大手証券幹部)。そこはコンセプトに加え、大塚の経歴がなせる技だろう。住友銀行(現三井住友銀行)からPEファンドの米カーライル・グループに移籍、カーライル・ジ・・・

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