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社会・文化

NHK「井上副会長」の傍若無人

民放との協業「御破算」の身勝手

2025年10月号

 漫画のような「ちゃぶ台返し」である。
 9月上旬に開催されたNHKと民放キー局5社の「在京テレビ6社会」は冒頭から対立ムード一色に染まった。NHKの小池英夫専務理事が民放との中継局の共同利用を目的に設立した子会社の運営について「採算が取れない。困難だ」と言い放ったからだ。対する民放キー局側からは「『裏切られた、信じられない』との非難が相次いだ」(民放キー局幹部)という。
「6社会」は各社の枢要な幹部で構成される。NHKからは次期会長候補の一人の小池、理事で技師長の寺田健二ら。民放側はテレビ朝日副社長の角南源五ら各社の取締役や執行役員。最近ではNHKのネット配信強化や民放のローカル局支援といった重要課題が話し合われてきた。
 中継局の共同利用会社の運営問題は2年余り議論を積み上げてきた。それが突如、NHKの変心で吹き飛んだのだ。
 諸悪の根源は、NHKの実権を握る副会長、井上樹彦だ。
 井上は、政治部出身で、政治部長、編成局長を経て、籾井勝人元会長体制下で経営企画担当理事に抜擢された。ところが当時の高市早苗総務相に睨まれ、関連会社に左遷・・・

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