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経済

「外為法」は企業の守護神にあらず

買収対策は「自存自衛」の時代

2025年10月号

「いよいよ来たか」。9月18日の夕方、ニコン社内は揺れた。この日の午後4時22分、金融商品取引法に基づき有価証券報告書等を開示するEDINET上で、ニコン株を買い増したという変更報告書が出されたからだ。
 報告書の提出者は「レイバン」などの有名ブランドを手がける欧州の大手眼鏡メーカー、エシロールルックスオティカ。株式保有比率を8・45%から9・47%に引き上げた。ニコン関係者によると「買い増すという事前通告はなかった」という。
 大量保有報告書でエシロールによるニコン株保有が最初に明らかになったのは昨年の10月7日。約280億円を投じてニコン株を5・1%取得したというものだった。そこからわずか1カ月以内にどんどん買い増し、8・45%までその比率を高めた。だがその後は今年の9月18日まで10カ月以上、沈黙を守っていた。
 買い増しが止まったのは「外為法の壁を越えられないから」(半導体業界関係者)というのが業界の共通認識だった。外為法とは「外国為替及び外国貿易法」のこと。外国企業が日本企業に10%以上出資する場合、外為法に基づき事前届け出と審査を受け、承認を得・・・

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