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社会・文化

美術品「受難」は日本でも起きる

「ルーヴル美術館」を笑えない事情

2025年12月号

 パリのルーヴル美術館で10月、ナポレオン1世の皇妃マリー・ルイーズの宝飾品が盗まれるという事件が起きた。まるで映画のような盗難劇だと大きく報じられたが、こうした美術品の「受難」は後を絶たない。
 今年9月にはエジプトのカイロにある博物館で「ファラオの金の腕輪」が盗まれた。また2023年には、英国の大英博物館で収蔵品が30年にわたり2千点も盗まれ売却されていたことが明らかになった。
 エジプトのケースでは、同国の観光・考古大臣が施設側の手続き上の不備を非難。大英博物館では理事長が「盗難を防ぐためにもっとできることがあったはず」と嘆いてみせたが、いずれも後の祭りでしかない。
 フランス会計検査院が公表したルーヴル美術館に関する報告書によれば、465ある展示ギャラリーに設置された監視カメラは、昨年時点で432台。これは、必要とされる数の39%に留まっていたという。
 1990年代後半、欧米の大規模な美術館や博物館では監視カメラと赤外線センサーによるシステムが導入されるようになった。そして2001年の米国同時多発テロ以降は、入館者に対して空港と同様の所・・・

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