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米中露が「欧州弱体化」で結託

EUの価値観「破壊」が共通目標

2026年1月号

 アメリカのドナルド・トランプ政権が欧州連合(EU)を瓦解させようと画策しているようだ。2025年11月に発表した国家安全保障戦略(NSS)でヨーロッパを「文明消滅」の危機にあるとし、反EU・極右勢力の支援を打ち出した。ロシアと中国もかねてEUの分断工作を仕掛けており、EU攻撃は米中露の共通の利益になってきた。
 NSSには実は公表される前に当局者に出回った長編バージョンがある。米ニュースサイトの「ディフェンス・ワン」によれば、価値観を共有しそうなオーストリア、ハンガリー、イタリア、ポーランドなどとの二国間関係の強化を挙げ、EUからの脱退を促す戦略を示唆している。反リベラル思想を掲げる極右政党を支援するとして、「MAGA」の思想を重ねる「MEGA(ヨーロッパを再び偉大に)」運動を後押しする方針を示した。
 長編バージョンはさらに米中露と日本、インドから成る「CORE5(C5)」という世界を仕切る枠組みの構想を提示している。主要7カ国(G7=日本、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア)に代わり、世界の主要課題を定期的に協議することを想定しているようだ。EU及・・・

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