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西風 538

村上水軍「奇跡の生還」

2026年3月号

 小学生のころ、つむじ風に巻き込まれた。校庭で写生をしていた時のことだ。キュウリのようにやせていた私の体は、瞬く間に強風に覆われた。意外にも体は1ミリも浮き上がらず、オズの国には行けなかったが、絵の具セットと黄色いバケツだけは高々と空中に舞い上がり、さらわれていった。
 つむじ風は「旋風」とも呼ばれる。私が巻き込まれた旋風は、今にして思えば軽めのものだった。2月の衆院選の高市旋風のすさまじさとは、比べるべくもない。
 高市旋風は自民党候補にとって追い風だったが、むしろ逆風の戦いとなった候補もいる。その一人が村上誠一郎前総務相だ。高市早苗首相と距離を置く非主流派。地元は愛媛県今治市で、戦国時代に瀬戸内海を席巻した村上水軍の末裔とされる。『村上海賊の娘』ならぬ「村上海賊の息子の息子の息子の……」ということになる。集団的自衛権の行使容認など、安倍政権が進めた保守色の強い政策を鋭く批判し、注目を集めた。盟友の石破茂前首相は昨年の会合で「自民党総務会で手を挙げてわーわー言うのは村上さんか私。カラスが鳴かない日はあっても、村上誠一郎がほえない日はない・・・