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経済

《クローズ・アップ》佐野 傑(電通グループ次期社長)

巨額赤字「脱却」は果たせるか

2026年3月号

「人手不足の中でも頑張って、国内事業は絶好調なのに……」
 電通の営業部門で働く管理職の50代男性はこう漏らす。同社の親会社である電通グループの2025年12月期決算は、3276億円という過去最悪の巨額赤字に落ち込んだ。年間配当は無配となり電通グループの五十嵐博社長は3月の株主総会で退任する。その後釜に就くのが電通の佐野傑社長だ。
 東京大学経済学部出身の佐野氏は、現在55歳。五十嵐氏よりも10歳若返る大胆な人事である。そもそも佐野氏が24年1月に、事業会社である電通の社長に引き立てられたこと自体がサプライズだった。電通関係者はこう指摘する。
「五十嵐さんは2年前、若い佐野さんを電通の社長にすることで、自分はグループ社長を長く続けようと考えていた。しかし海外事業の大赤字が誤算だった」
 五十嵐氏と佐野氏は、アサヒビールを主要クライアントとする旧・第5営業局で上司と部下の関係だった。いずれも局長を務めて出世ラインに乗った画に描いたような「電通の広告マン」だ。
 佐野氏の前任の榑谷典洋氏は、一連の東京五輪汚職の責・・・

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