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連載

皇室の風 連載17

秋篠宮の発信
岩井 克己

2010年1月号

昨秋、天皇と秋篠宮が皇室の将来についてやや踏み込んだ発言をした。
 二〇〇八年暮れに天皇の不調の原因に関し、羽毛田信吾宮内庁長官が「皇族の数が減っていくという皇統の問題など皇室の将来への心配」を挙げたことを問われ、天皇は「皇室の現状については質問の通り」と言明。皇位継承の制度については国会の論議に委ねるが、「将来の皇室の在り方については、皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要」(十一月の即位二十年の会見)と述べた。
 半月後、それを受けて秋篠宮が誕生日会見で自らの考えを展開した。独特のあいまいな言い回しで真意はわかりにくい。読み解きを試みてみよう。
 秋篠宮はまず、危機感を募らせる長官発言を「あくまで長官の私見」と繰り返し、天皇よりもやや距離をとった。そして皇位継承の制度については国会論議に委ねるとしつつも、「その過程において、今後の皇室の在り方ということも当然議論されることになるわけですけれども、やはり将来その当事者になる皇太子ほかの意見を聞くという過程も私は必要なのではないかと思っております」と答えた。記者の関連質問に「皇太子ほか」とは・・・