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政治

戦わぬ谷垣自民は「草刈り場」に

民主逆境でも無為無策

2010年2月号

「保守主義の世界観は、破壊的急進主義を排すると共に、過去と現状のみを守旧する反動的保守とも異なる道である」
 東京裁判で東條英機の主任弁護人も務めた清瀬一郎元衆院議長が自民党結党五年後の一九六〇年一月の党大会で報告した「保守主義の政治哲学要綱」の一節だ。現在、自民党内にこの論文のコピーが出回っている。原点回帰で保守層の支持を民主党から取り戻そうという熱意なのだろう。
 しかしその熱意は空回り気味で、執行部は「過去と現状のみを守旧する」ばかり。ただでさえ頼りない求心力をもはや失っている。
 民主党幹事長の小沢一郎が一月二十三日午後、自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で東京地検特捜部の事情聴取を受けていたのと同じ頃、自民党の総裁、谷垣禎一は聴取が行われたホテルに近い自民党本部で全国幹事長会議に出席していた。
「小沢幹事長は事情聴取の要請を拒んでいたが、世論の高まりで拒否できなくなった。現政権の問題を解明するため、全力を挙げる。私も先頭に立って戦う」
 谷垣はこう声を張り上げたが、翌日の党大会のため東京に集まった都道府県・・・