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経済

《クローズ・アップ》米倉 弘昌(住友化学会長)

日本経団連会長に内定した

2010年2月号

 五月末から日本経団連次期会長として、現会長御手洗冨士夫から財界の舵取りを任された住友化学会長の米倉弘昌。「十五人の副会長の中から」という大方の予想を裏切って、卒業間近の「上がりポスト」(経団連幹部)である評議員会議長からの抜擢というサプライズ人事となった。
 財界総理とはいえ就任時に七十三歳という高齢の登板は、社名に堂々と旧財閥名を冠している点を含め前例がない。化学業界では二番手だが、売上高は約一兆七千八百億円と東芝、新日本製鐵、トヨタ自動車、東京電力といったいわゆる「経団連銘柄」と並べると小ぶり。マスコミの予測記事で会長候補に名前が挙がった面々と比べても「無印良品」のような存在感と、あらゆる面で異色ずくめだ。
 そんな米倉を、後継に抜擢した御手洗の決断に対する経済界の評価は肯定と否定が相半ばするといった状況だ。肯定意見の主だったものはやはり卓越した国際性への評価が基になっている。米国の大学院でMBAを取得。ニューヨーク駐在経験もある財界きっての国際派であることは間違いない。ダボス会議(世界経済フォーラム)の常連でもあり、日米財界人会議でみせる議長としての捌きぶり・・・