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経済

《クローズ・アップ》稲盛 和夫(日本航空会長兼最高経営責任者)

もはや「燃えカス」経営者

2010年3月号

 日本の企業の人事は派閥、人脈、お友達といった力学で決まりがちだ。経営破綻した日本航空(JAL)再建に担ぎ出された京セラ名誉会長の稲盛和夫も、そうした悪しき典型にほかならない。齋藤次郎日本郵政社長に続く民主党の権力人事ということになる。
 稲盛は言うまでもなく民主党に最も近い財界人で、小沢一郎幹事長とは小沢が自民党幹事長職にあった頃から親密な関係にある。同時に京都選出の前原誠司国土交通相の支援者でもあり、JAL最高経営責任者(CEO)の「最適任者」(鳩山由紀夫首相)という形に収まるまで時間はかからなかった。
 今なお京セラ、第二電電(現KDDI)の経営で見せた辣腕ぶりが有名だが、「稲盛教」とも揶揄される独裁経営と数々のライバル企業潰しは、競合企業筋には「手段を選ばない闘争的な企業」という悪しき印象を刻みつけた。しかし一九九七年に臨済宗円福寺で得度を受け、仏門帰依したためだろうか。「狂セラ」「凶セラ」といわれた稲盛イズムは影を潜めたように見受けられる。つまり、少しは品が良くなったのだが、高齢(七十八歳)だからという見方もある。
 稲盛はJALのCEOを受ける・・・