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連載

西風 346

濃霧の中の関西三空港
八木 亜夫

2010年3月号

 

 関西空港・伊丹空港(大阪国際空港)・神戸空港の関西三空港問題は、いよいよ混迷の度を深めてきた。二月五日に国土交通省の成長戦略会議が示したこの問題の「論点整理」なるものの内容が、伊丹空港について、つまるところ存続・廃港の「両論併記」だったことが、話をさらにややこしくする。伊丹を「フル活用する」としながら、騒音対策費の見直しなどに地元の協力がないなら「廃港も視野に入れる」という。
 これを受けて二月十五日に伊丹空港地元の大阪・池田市で住民約一千人が参加して開かれた「空港問題タウンミーティング」でも、橋下徹大阪府知事と井戸敏三兵庫県知事が、例によって「伊丹廃港」「廃港反対」で激論を繰り広げた。
 成長戦略会議は、来春全線開通の九州新幹線に加え、いずれ東京・名古屋間の中央リニア開通となれば、伊丹の利用価値は低くなるとみて、いまから運用時間制限を撤廃、フル活用の道を開くべきだとする。もとをただせば、内陸空港の伊丹の騒音問題がこじれて、海上の関空ができたのだが、フル活用となれば、騒音問題で地元がウンといわなければならない。それができ・・・