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経済

《クローズ・アップ》桜井正光(経済同友会代表幹事)

「平成の鞍馬天狗」と呼ばれ始めた

2010年4月号

「平成の鞍馬天狗」。財界では最近、彼を評してそう呼ぶ者が出てきた。彼の一挙手一投足に注目が集まるようになったのは、昨年夏の民主党政権誕生以降のことだ。
 民主党本部に小沢一郎を訪ねて政策要望を伝えた日本商工会議所会頭の岡村正。アジア経済界の大物たちを集めたアジア・ビジネス・サミットに鳩山由紀夫首相らを招いた日本経団連会長の御手洗冨士夫。最近の経済団体トップの動きは、滑稽なくらい政権との距離を縮めようともがいている。
 対する桜井正光が落ち着き払って見えるのは、すでに民主党との強固な関係を構築している余裕からに違いない。自民党政権時代から経済同友会は民主党と勉強会を頻繁に開くなど交流を深めてきた。その効果は政権発足直後から表れた。民主党政権が設置した「国家戦略局」は同友会が二〇〇七年に提言した設計案そのままを実現した。行政刷新会議のメンバーに元同友会副代表幹事の茂木友三郎キッコーマン会長CEOが起用されたほか、主要省庁の審議会でも同友会幹部が重用されている。
 驚かされるのは政治情勢をにらんで先手を打つ桜井の、腰軽とも受け取れる言動だ。「政治とカネ」の問題に・・・