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経済

半導体市場は名ばかりの「回復」

韓国、台湾の「おこぼれ」に依存

2010年4月号

「この好況は少なくとも二〇一〇年いっぱい続く。さすがに国内でも過去最高の業績をたたき出すところもでてくるのではないか」
 半導体業界の久々の活況をこう分析するのは業界アナリストだ。リーマン・ショックの影響から、かつてない低迷に見舞われた半導体市場だが、〇九年も半ばを過ぎて回復に転じており、その基調は日に日に強さを増している。
「特に中国の景気回復は力強く、春節需要が予想通りに推移した。製品の在庫問題もなく、まだまだ注文書が押し寄せる可能性もある」(同)との見方が有力だ。
 調査会社の統計によると、〇九年第4四半期における世界の半導体業界全体の営業利益率は二一・四%と過去十年で最高水準にある。
 これまで「一人負け」と散々揶揄されてきた国内メーカーも、さすがに市況の波に乗り、数字の上では業績回復がみられる。特にセイコーエプソンやロームといった準大手メーカーが健闘している。
 しかし、その実態は決して手放しで喜べるものではないという。前出のアナリストによれば、「受注内容を詳しく見ると、確かに市況回復で入ってきたものだが、自社の技術や得意分野・・・