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経済

「脱税体質」改めぬ日本IBM

国税・証券監視委が追い詰めるその「悪辣さ」

2010年5月号

 これが外資系企業の「素顔」なのだろう。かつては「外資系企業の雄」ともてはやされた日本IBMに、国税史上最高額となる約四千億円の巨額申告漏れが発覚した。発端は三月十八日付の朝日新聞朝刊一面のトップ記事。「日本IBMグループ 四千億円申告漏れ」の見出しが躍った。
 人々の怒りを買ったのは、その「申告漏れ」の大きさだけではない。明らかに不自然な株式の売買によって国への納税額をゼロにしておきながら、日本IBMは自社株買いも連結納税も日本で広く認められた制度であると強調した上で、「関連法規を順守して適切に納税している」などとコメント。悪びれるそぶりもなく、税務調査に当たった東京国税局と真っ向から争う構えをみせたからだ。
 同社を巡っては、日本IBMの元社員が立ち上げたシステム会社、ニイウスコーの粉飾決算事件に絡んで証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反で強制調査を受けたことも判明した。通常の企業ならばこのあたりで当局との「和解」を探るものなのだが、日本IBMの厚顔無恥な姿勢は米政府と長年争った経験を持つ親会社、米IBMがバックにいるという自信からなのか、二カ月近く・・・