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ロシア流「友愛外交」の茶番

プーチンのしたたかな戦略

2010年6月号

 脅しすかしの「恫喝」を得意とするロシアが、最近、なぜか低姿勢外交に転じており、関係国の外交担当者を不気味がらせている。
 その裏には、したたかなプーチンの戦略が見て取れる。
 ロシアの低姿勢が具体的な姿をもって国際舞台に登場したのは、四月十日にロシア領内で発生したポーランド政府専用機墜落事故での対応だ。ロシアは、ポーランドばかりか周辺諸国が驚くほど迅速かつ丁重に事態に対処した。
 プーチン首相に至っては、事故現場で自ら調査委員会を率い、カチンスキー大統領の遺体搬送にまで立ち会った。アイスランド火山噴火の影響で多くの外国賓客が欠席する国葬にメドベージェフ大統領が姿を見せたことは、歴史的にロシアに批判的なポーランド国民も心を揺さぶられたという。同国の政府筋はこう語る。
「米ミサイル防衛(MD)システムの配備を巡り、国境付近にミサイルを配備するとロシアが脅していたのが、まるで嘘のようだ」

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