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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》新聞休刊日

「一斉は偶然の一致」で押し通す

2010年6月号

 二〇〇八年九月十五日、米国でリーマン・ブラザーズが、連邦破産法十一条の適用申請を発表した。「リーマン・ショック」の幕開けだ。第一報が入ったのは、日本時間の同日午後二時頃だった。この「歴史的大事件」を、日本の新聞各紙は翌日の朝刊でどう報じたか。
 結論をいえば、「報じなかった」。正確には「報じられなかった」。祝日明けの十六日火曜日は、「休刊日」で朝刊が存在しなかったのだ。各紙はそれまで、サブプライム・ローン問題に端を発した金融不安を散々報道していた。しかし、「本丸」と呼ぶべき重大事を前に、もの言うことができなかったのだ。
「新聞休刊日」という「悪しき因習」は、再販制や特殊指定という新聞社の利権にも繋がる問題をも内包した根深い問題だ。
 重大事件が起きた時の不都合だけが問題ではない。なぜ「伝える」という新聞社の唯一無二の存在理由を自ら放棄するのか。しかも全社横並びで。

全国紙販売局長会議での「儀式」


 全国紙の販売局長が月一回集まる会合がある。毎年、秋口の会合では恒例・・・